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雑記

09/14 Te Wiki o Te Reo Maori

09/14, 8日目

オークランドに到着して1週間、街のおおよその散策は終え、目的であった税制上の手続と現地口座の開設も無事に完了したため、この週末は宿でのんびりと過ごした。

のんびりどころか、その実は半分寝こけていたのだが、怒涛の8月とフルマラソンの疲れがここに来て表れたように感じる。

ニュージーランドは現在、春の始まり。9~11月が春、12~2月が夏、3~5月が秋、6~8月が冬とされている。オークランドの気温は15度前後で、湿度は60~70%程度。札幌の春を想い起させるようで、過ごしやすい気候だ。

南ア留学の頃も、初期の投稿は現地での生活についてだったが、ここオークランドは非常に多くの日本人留学生が滞在しており、ワーキングホリデーについても枚挙に暇がないほど情報が溢れているので、特に詳しくは述べない。

着陸前、eSIMの開通をSpark社のサイトで完了しており、通信環境は良好。街中はどこも公共のFree Wi-Fiが飛び交っている。キャッシュレスが浸透しており、Visaのタッチレス決済(Paywave)が使えれば基本的に困らない。

納税者番号(IRD)の取得もオンラインで完結し、口座を開設したKiwiBankも申込内容が即時でアプリ上に反映されるというデジタル先進国だ。アフリカ諸国、南米、東南アジア、いずれでも経験できなかった、洗練されたデジタルサービスに感服する。

ニュージーランドは大きく北島と南島に分かれており、首都は両島の真ん中に位置するウェリントン。ここオークランドは国全体の人口約500万人の内、約165万人、3割程度が暮らしている。北海道の人口も約500万人、札幌が約195万人であり、規模感としては近いものがある。人口密度は国全体でニュージーランドが1平方kmあたり約20人、北海道が約68人のため、いかに余裕のある国土か分かる。

国最大の経済都市ではあるが、中心部では大規模な再開発が進められており、平日はどこもかしこも建設業者の作業で賑やかだ。街中は多様な人種と、様々な飲食店に溢れている。実際、統計上は人口の4割近くが海外出身者というデータもあり、まさにグローバルな都市と言える。

オークランドではMountain River Venison社に手早く挨拶を済ませ、上述の手続を完了した時点で滞在理由は無くなった。しかし、おそらく最も高い物価や、店舗・サービスのレベル、都市の雰囲気を見て回れたことは良い経験となった。

オーストラリア資本のWoolworths社が都市部のスーパーでは存在感を示しており、商品の質や価格のベースラインを頭に入れる上で非常に参考になった。

精肉コーナーでは、鹿肉を見つけられることはなく、実際に生産量の9割以上は海外輸出に回っている。いかにして輸出先を開拓し、品質を担保する輸送網を構築しているか。今後の大きな調査テーマだ。

ニュージーランドは広大な農地を活かした食料生産が特徴で、その食料自給率は穀物・野菜果物類でいずれも200%を超えており、肉類は300%を上回る。あくまで約500万人の人口規模に照らし合わせたものであるが、そのために農林水産物の海外輸出は盛んで約5兆円を超える規模だ。(日本は全体で1兆円超、2030年までに5兆円がターゲット)

ただし、輸出に多くを回した結果として、海外との価格逆転が起こることもあり、国のアイコンでもあるキウィフルーツ(ゴールデン)は一般的な1玉がスーパーで150~170円前後で売られていた。釧路のスーパーで127円だったことを考えると、何だか世界のバグのように感じる。

トライアル 益浦店

さて、このように街中を散策したり、スーパーで調査したりといつものバックパッカー生活をしていたところで、Auckland Libraryで興味深いものを見つけた。

図書館には特別展示室も用意されている

マオリはニュージーランド(アオテアロア:マオリ語での名称)の先住民族であり、北海道のアイヌのように差別や迫害を受けてきた歴史を持つ。多くの共通点があることは、多くの先行研究が示しているところである。

タイトルのTe Wiki o Te Reo Maoriは直訳するとThe Week of the Maori languageであり、今年で50周年を迎えるマオリ語保存のための1週間だそうだ。毎年、9月の1週間が充てられるようで、この週はテレビやラジオでマオリ語の音声や字幕も流れるほか、様々なイベントが企画されている。

箕面市の国際交流員の方のページが分かりやすく、特に"Kia ora"は1日に5回はお目にかかるフレーズだ。

アイヌ語ですらまともに知らない自分ではあるが、これほどに国の中で先住民族の言語が浸透している様子を目の当たりにすると、少しでも理解したいという気持ちが芽生える。滞在の限られた間ではあるが、覚えられるところから学んでいきたいと思っている。

来週からはオークランドを離れ、目的地である南島に向けた南下を少しずつ進めていく。都市での1週間を通じて、やはり自分は自然が身近な場所が好きなんだと改めて実感した。マオリの方々は、自分たちのことを"Kaitiakitanga"と呼ぶらしい。「自然の守り人」という意味だ。それだけ、このAotearoaは古来より自然の豊かな土地なのだろう。

北海道を離れて間もないのに、もう牛たちの姿や鳴き声、牧場のにおいや風が懐かしい。この土地でも、自然だけでなく多くの動物達と出会い、その鼓動を感じたいと思う。