10/31, 55日目
10月も終わりを迎える。北海道では峠での大雪予報が出たりと、本格的な冬の到来だ。北海道の四季は、11~4月が冬、5~6月が春、7~8月が夏、9~10月が秋というのが従来の感覚だったが、最近は春と秋が驚くほど短くなっているように感じる。
世間では場所を問わずハロウィーンムードだろうか。東京にいた頃は渋谷の様子も少しは気になっていたが、個人的にあまり根の深くない文化には関心が無いようで、今日も月の終わりという感覚のみが残る。
NZに来てから着実に養鹿産業(Deer Industry)への理解は深めており、今週はその開祖とも言える人物について調べていた。名はTim Wallisさん。
誠に残念ながら、2023年の10月17日に亡くなられており、実際に会うことはもう叶わない。南島の出身で、鹿猟と食肉・魚肉加工業から始まった彼のビジネスは、やがて借金をして手に入れたヘリコプターを活用した鹿の生け捕り事業に発展していく。操縦するヘリコプターを複数回墜落させ、大怪我と後遺症を負いながらも、決して諦めること無く挑戦を続けた彼の伝記は、どこか甘さを抱えていた自分にズシリと響いた。
成功者の備える強みにはある程度の共通点があるとされるが、伝記を通して自分もいくつか分類したものはあった。企業秘密のため、ここでは明かさないが、大いに学びとなった次第である。

滞在しているタウランガエリアに、彼の設立したAlpine Deer Groupのオフィスがあり、これから訪問を予定しているのだが、サイドワークで農業の現地理解も兼ねて行っていたキウィ農園での仕事が早期に終了しそうなため、オフィス訪問と11月9日に予定しているタウランガマラソンが終わり次第、次の目的地に向かうことになりそうだ。
今日は天気もよく、1週間前頃だったので長距離の刺激を脚に入れたくて、実際のコースをローペースで走っていた。途中の湿地帯のような干潟の風景が最高に気持ちよく、何度も余所見をした。
これでも2時間少しで走りきれてしまったので、去年の根室マラソンと比べれば大躍進のように感じる。やはり、フルマラソンを経験したことによる成長は大きい。本番では、2時間切りをベース目標にして臨みたい。

握手とサインもしてもらった川内優輝選手が優勝したこともあるボストン・マラソンは、フルマラソンのタイムが実質3時間以内でないと出走ができないらしい。自己ベスト的には中級者に分類される自分でも、異次元の領域に感じる。市民ランナーとして、いつかそのレベルに達することはできるのだろうか。
マラソンを終えても11月いっぱいくらいまでは何だかんだ滞在する可能性も考えていたため、慣れてきた町を離れるのは少し物寂しい気持ちもあるが、初心に帰って酪農と畜産、そして鹿産業の現場修行を積まなければいけない。しかし、世界中から人が集まる空間では英語力の向上はもちろん、色々な考え方や文化に触れることもできて非常に有意義な時間だった。間違いなく、今後の生活に役立ってくる。
中期的には、2月にはリンカーン大学で北大の先生方とも再会予定であるし、少しずつ駒を南島へと進めていきたい。キウィフルーツが引き合わせてくれたTim Wallisさんに敬意を払いつつ、いつも通り自分の"Que sera, sera"的な力に感謝する。
11月もきっと、今は予想もしなかったような展開が待っているだろう。今日できることを、全力で。真剣に考えて生きていく。