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雑記

人権の行方

05/12, 89日目

1か月近く更新をしていなかった。書くのを憚られるほどに、色々なことがあった1か月だった。弱音を吐くのは嫌いだけど、記録ということなのでこれも残しておく。

インターンを通じてタウンシップと呼ばれるスラム街に行く機会がいつにも増していた。日本人どころか白人もいない地域の数々。アパルトヘイト時代の名残は今なお残っていると訪れる人は皆言う。

たくさんの人に話を聞いた。皆が生活に何らかの不満を持っていた。政府が約束したインフラ、学校、補助金が一向に実現しない。生活が苦しい。子供がある日突然いなくなった。未来に希望がない。

とにかくお金を恵んでほしいと嘆願する人々。豊かな人々をじっと睨むあの目。格差の大きさを目にする回数が増えるごとにただ心に疲労がたまっていった。そんな気がする。困窮している現状を悲しむ心はあっても、完全に相手の立場に立つことなんてできなかった。

アフリカで社会企業家として活躍を志す日本人が増えていると聞く。その志に批判的になったわけではない。ただ純粋にすごいと思える。物事をポジティブに捉えることはそれほど難しくない。難しいのは捉え続けることだと思う。

悲しいことに、底の見えない社会課題の深さに少し参ってしまった。たかだか3か月で?と思うかもしれない。自分の弱さももちろんある。でも、口当たりの良い理想を語るという行為はとてもじゃないが今はできない。

「なぜそれをやるのか?」この問いを心の深く深く奥底で見つめなければとぼんやり思う。人のため?名誉のため?お金のため?つまりは自分のため?もっと深い何か? そもそも「あなたとは何か?」という問い。
さんざん議論してきた分野だと思っていたけど、「やりたいからやるんだ!」「人のためにでいいじゃない」といった答えが暗黙に了解されているのは納得がいかなくなってきた。
結局、答えは自分で見つけるしかないし、それぞれにユニークなもの。そもそも比べようがないし、良いも悪いも人様に迷惑をかけない範囲なら無いはずだ。

働くことの大切さ。この国の失業率は単なる貧しさだけに繋がっている訳ではない。働くという、自分が何者かを見いだす行為が出来ない人たちがたくさんいる。物乞いの人に「やりたくてやってる訳じゃない」「なんで生まれてきたのか分からない」と言われた時は涙が止まらなかった。こんな残酷なことがあるとは知らなかった。何もこの国に限ったことではない。日本だって働くことに絶望している人がたくさんいる。

学舎で学んだのはお金を稼ぐ目的としてではなく、生きる上で働くとはどういうことか、その転回。あの時感じた未来のコミュニティとしてのありようは単なる理想だろうか。

人権というものを考えれば考えるほど哲学のような領域に入っていくことに気が付く。根っこにあるその考えをみんな本当に信じているのだろうか?
「生まれながらにして平等」「等しく生きる権利がある」
自明だと思っているうちは本質に近づけないと言われた。なぜそれが求められるか。聞かれて、聞いてみて分かったのはこの部分について考えている人は少ない。

自分も答えが出せなかった。先人の考えや教科書に載っている価値観ではなく、自分が導く答えは何か。また暗闇の中で、宙ぶらりんな状態が続く。